ひとつのクレンジングオイルが完成するまでに、約7年という時間がかかりました。それは特別な成分を加えるためではなく、日常の中で無理なく続けられる使い心地と、素材である馬油の特性を丁寧に生かす処方を確かめるための時間でした。
試作、検証、そして実際に使う人の声。その往復を重ねながら少しずつ形になっていった「ソンバーユク レンジングオイル レモンの香り」。開発担当の金森と、卸の現場で商品づくりを見続けてきた浅野が、その背景を語ります。


【対談者紹介】
金森 湖帆(品質管理担当)
大学で化学を専攻。幼い頃から肌が弱く、化粧品選びに悩んだ経験を持つ。入社以来、ソンバーユ株式会社の試験室で馬油の品質管理や商品開、ソンバーユ株式会社の試験室で馬油の品質管理や商品開発に携わり、素材理解を基盤とした処方設計を担当。
資格
日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ
温泉ソムリエ


浅野 由実(卸販売担当)
株式会社薬師堂で卸先からの受注や問い合わせ対応を担当。10代からメイク好きで豊富な知識をもち、取引先や店頭で寄せられる声を集約して、商品開発では多数提案。現場と開発をつなぐ役割を担う。
対談日:2026年3月17日
浅野: 今日は、ソンバーユクレンジングオイルを開発した金森さんに、じっくり話を聞きたいと思います。完成までに7年。社内でその過程を見てきた一人として、「ようやくここまで来た」という感慨深さと同時に、この歳月に積み上げられたものを、きちんとお伝えしたいと思っています。
まずは原点から。金森さんは大学で化学を専攻していた“ 理系女子 ”でしたよね。
金森: はい。大学では化学を専攻して、分子構造とか反応機構など、“ 見えないものを頭の中で可視化する ”勉強をしていました。測定データを見ながら条件を少しずつ変えて検証していく、そんな地道な作業が好きでした。
浅野: ソンバーユの試験室で馬油を扱うようになって、どう感じましたか?
金森: 「面白い素材だ」と直感しました。同じ “ オイル ” でも、構造が違うとなじみ方も、温度での動きも、安定性もぜんぜん違う。天然由来だからこそ、原料ロットごとの違い、温度での微細な変化、時間経過による性状の推移など、数字の “ 個性 ” が読み取れるんです。その個性と向き合う日々は、検証好きな私にとって非常に充実したものでした。
浅野: 近くで見ていると、金森さんは理論を土台にする妥協のない “ 検証派 ” ですよね。
金森: ありがとうございます(笑)。ただ、このクレンジングは理論だけで組み立てたものではないんです。理論は土台として置きつつ、判断の決め手は、私自身の肌で感じた “ 手触り ” や、毎日無理なく続けられるかという “ 感覚 ” でした。

馬油との出会い:肌が「嫌がっていない」という実感
浅野: 油脂の世界って、面白いですよね。化粧品の仕事をしていると “ 油 ” は身近なのに、知らないことも多い。金森: そうなんです。私は日常業務で、馬油の品質検査や安定性試験など、いわば “ 馬油の本質 ” を見る仕事をしてきました。天然自然由来だからこそ数字の裏にある個性を読み解く日々。その中で、ふと「これでメイクを落としたらどう感じるんだろう」と試してみたのがきっかけでした。
浅野: 学生時代は市販のクレンジングをいろいろ試されていたんですよね。
浅野: クレンジングって毎日のことだから、小さな違和感が積み重なりますよね。
金森: はい、流行っているものを片っ端から使って“合うもの探し”をしていました。 そうなんです。幼い頃から唇が荒れて飲み物もストローが手放せなかったりしました。流行りの化粧品でヒリヒリすること結構ありましたね。
浅野: 肌の悩みは生活に直結しますから、切実ですよね。
金森: でも不思議なことに、メイクは嫌いにならなかったんです。隠すためだけじゃなく、気持ちを上げ、整えるための大切な時間。だからこそ、夜、クレンジングでつまずくとダメージが大きい。落としすぎるとカサつくし、目元に違和感があると一日の終わりに「はぁ…」となりますよね。
浅野: その中で、実際に馬油で落としてみたときの感覚はどうでしたか?
金森: たくさん馬油を肌にのせたとき感触がすごく穏やかで、なじませていくと “ じんわりぬくもりに包まれた ” ような感覚がありました。馬油の脂肪酸バランスがヒトに近いことは知識として知っていましたが、実際に肌の上で感じる印象は想像以上に素直で。「あ、これは私の肌が嫌がっていない」と直感しました。
浅野: “ 嫌がっていない ” 。まさに金森さんらしい表現ですね。
金森: ただ、馬油をクレンジングに使うと、拭き取りやダブル洗顔の手間があり、日常で続けるにはハードルが高かった。理論上よくても、続けられなければ意味がない。そこで「馬油の良さを残しながら、もっと手間を減らせないか」という処方開発がスタートしたんです。

「0.1%」に込めた、妥協なき検証
浅野: その頃、金森さんの机の上に買ってきた市販のクレンジングが山積みでしたよね(笑)金森: はい。20本、30本くらいは試したと思います。定番品から敏感肌向けの高価格帯まで、自分の体感と成分名を照らし合わせながら「やさしさ」の裏にある設計を確かめました。それでも、季節が変わると違和感が出たりして「これだ」というものに出会えなかった。そこで、馬油の「なじみやすさ」と「保湿力」を落とす工程に活かせないかと考えたんです。
浅野: ここで “ 馬油の本質 ” を知っていることが役立つ。
金森: はい。馬油を保湿に活かすのはもちろんですが、私は「落とす」にも活かせると思いました。ただし、馬油は入れれば入れるほど良い、という単純な話ではありませんでした。液状の馬油とはいえ高配合にすると、冬場に結晶化したり、固まって、容器との相性で吐出が不安定になったり。逆に減らすと、馬油ならではの “ なじみの速さ ” や “ ぬくもりのような感覚 ” が薄くなる。ここが本当に難しかったです。
浅野: 初期の試作品、冬に固まっていましたよね。容器から出てこない、みたいな。
金森: ありました…。ある冬、試験室のスタッフの間で「出ない!」と小さな騒ぎになったことがあって。試作段階だから起こり得る現象だと頭では分かっていても、背中がスッと冷える感じがしました。「また振り出しかもしれない」って。クレンジングは “ 出ない ” と成立しない。いくら中身が良くても、容器から出てこない時点でゼロですから。
浅野: あのときの金森さん、すごく悩んでましたもんね。
金森: 悩んだし、落ち込みました。でも同時に、ここは丁寧に見直さないといけないと思いました。温度による粘度の変化や、他の成分との相性、さらにポンプやスパウトなど容器との相性を含めて、改めて一つひとつ検証し直しました。
浅野: そこから7年…って、さらに気の遠くなるような年月をかけて見直していったのですね。
金森: 長かったです。夏場と冬場は性状の違いがはっきりしてくるので、安定性試験は春夏秋冬を6年繰り返しました。天然素材は季節を越えて初めて “ 本当の顔 ” が見えるんです。馬油を高配合すると、その顔がさらに強く出る。だから急がず、でも止まらずに、確認を積み重ねていきました。
浅野: “ 早くお客様にお届けする ” より “ 確かなものをお届けする ” ですね。
金森: そうなんです。ただ、理論だけで押し切るのも怖かった。だから配合は段階的に詰めました。最初は10%単位で方向性を探して、最後の追い込みで0.1%単位まで刻んで確認した感じです。数字としては小さく見えても、触ったときの印象や、すすぎの軽さ、なじみの速さに差が出ることがある。そこは開発者として譲れない部分でした。
浅野: その「0.1%」って、聞く人が聞くと「そこまで?」と思うけれど、実際触ると分かるんですよね。
金森: はい。私には分かるんです(笑)。私の感覚や官能評価は主観になりやすいので、沢山の人に試してもらいたかった。そこで重要だったのが社内テストです。
浅野: 社内全女性社員と男性社員は奥様などですね。
金森: はい。私自身が肌がゆらぎやすいからといって、私の体感だけで決めてはいけないと思いました。だから試作を作っては、社内の女性スタッフ465名、ほぼ全員に試してもらい、率直な感想に耳を傾けました。良いと言ってくれる声だけを集めたら簡単なんです。でもそれだと商品にならない。違和感の声、使いづらいという声、そういう “ 引っかかり ” を拾わないと、設計が私の中で止まってしまうので。
浅野: 初期試作で2名から「合わない」とはっきり言われたとき、落ち込んでいましたよね。
金森: 正直落ち込みましたね。でも、それが重要でした。合わなかったを掘り下げ、“ 私に合う ” ではなく、“ できるだけ多くの方に寄り添える ” でないといけない。そう考え直して、処方を何度も見直しました。
刺激の感じ方は個人差が大きいので、馬油以外の原料を選ぶときも、実績のあるものを中心に一つひとつ原料だけを自分の判断で目周りなど敏感な部分に付けて確認し、絞っていきました。ここで誤解してほしくないのは、私は「危険なことをして確かめる」ことを勧めたいわけではありません。試作開発の現場では、確認のしかたも含めて慎重さが必要だと常に思っています。
浅野: 市販のクレンジングは成分名がたくさん書かれていますよね。
金森: こうした検証を重ね、皆さんの意見を聞きながら、最終的に馬油以外の成分は5種類になりました。クレンジングオイルとしてはかなりシンプルです。
洗い流せるように必要最小限の界面活性剤を配合しています。役割としては、水やぬるま湯となじんで“ 洗い流しやすくする ” ところを担う。メイクや汚れを肌から浮かせる感触の部分は、高配合している馬油が中心になります。役割を分けることで、クレンジングとしての使いやすさと、使用感のバランスを取りました。
一般的に成分の種類が多いほど、合わない成分に触れる確率が上がると考えられるので、馬油を含め6種類だけで商品化できたことは大きかったです。
浅野: 「落とす=界面活性剤」じゃない、という設計ですよね。馬油の “ なじみ ” で浮かせて、必要な分だけ界面活性剤が仕事をする。
金森: はい。私は “ 落とすために足す ” より、“ 不要なものを増やしすぎない ” 発想で組み立てたかった。もちろん成分数が少ないほど設計が簡単になるわけではありません。むしろ少ないほど、一つひとつの役割が重くなるので難しい。でも、ここは譲れませんでした。


馬油配合率「約40%」という黄金比
浅野: ここで「液状馬油を使った理由」も改めて聞かせてください。今回、液状馬油を約40%という高配合で実現しました。なぜ「40%」の配合率だったのでしょうか?金森: 冬場の扱いやすさと、ポンプ容器との相性が大きいです。クレンジングに使っている液状馬油は、保湿ケアで使う馬油同様、固液の自然分離に2年の歳月をかけ、成分無調整で仕上げた国産の馬油です。馬油としての安定性は保湿ケアシリーズのソンバーユと同じレベルで確認しています。なので「液状だから使いやすい」というだけではなく、素材の背景も含めて説明できるのが強みだと思います。
浅野: 2年かかるって、お客様にお伝えすると驚かれますもんね。ソンバーユならではの時間を味方につける素材づくり。
金森: そこには薬師堂グループの一貫製造体制がある。時間は手間でもあり、品質でもあります。高配合が可能になったのは、材料を “ 買って混ぜる ” だけではなく、馬油そのものの理解と長年培ってきた技術、管理ノウハウがあるからだと思っています。
そして他の5種類の原料も、化粧品原料として20年以上使われてきた実績のあるものを選んでいます。未知の新成分に頼らず、実績のある素材を、最適な比率で組み合わせる。その積み重ねで、約40%というバランスに落ち着きました。
浅野: その40%、なぜ “ 40 ” なのか、もう一度、金森さんの言葉でお願いします。
金森: 増やせば良い、減らせば安全――そういう単純な話ではありませんでした。落とす感触、なじみ、ぬくもりのような感覚、そして安定性。これらを並べて検証し、バランスがいちばん整ったところが “ 約40% ” でした。
増やしすぎると、温度条件によって固まりやすくなったり、ポンプ内で詰まりやすくなったり、すすぎの好みが分かれてくる。一方で少ないと、馬油らしい使用感が薄くなる。結果として約40%は、馬油の特長とクレンジングとしての使い勝手の黄金比なんです。
浅野: 経験と検証が導いた数字、ですね。ここ、ソンバーユクレンジングオイルの芯になる話だと思っています。
金森: 数字に頼りすぎたくないけど、数字から逃げたくもない。官能評価と安定性評価と、実使用の声を並べて、最後に決めました。
浅野: 実使用の声で言うと、試作品のときに、冬場に固まって容器から出づらかったことがありましたけど、そこから配合と容器にこだわり、クレンジングオイルが誕生。毎晩のお手入れがより楽しみになりましたよ。
金森: その言葉、救われます…。結晶や吐出の問題は本当に手強かった。中身、容器、使い方、保管、そして言葉。全部つながっている。だから開発は “ 線 ” ではなく “ 面 ” だと痛感しました。
浅野: そういえば、言葉で思い出しました。「乾いた手で」という伝え方ひとつをとっても、社内でかなり議論しましたね。
金森: はい。「乾いた手」と書くと、少しの水分も拭き取らなければ…と受け取る人もいる。湿気の多いお風呂場では使えないと思ったスタッフもいました。こちらの意図は、「軽く拭いた手で十分」ということ。伝え方ひとつで使い勝手が変わるからこそ、文章も設計の一部だと感じました。
浅野: 「ソンバーユ クレンジングオイル」を多くのお客様へ届けていく上で、ここはすごく大事。品質が良いだけじゃなくて、使い方がきちんと伝わるか。
金森: そうなんです。商品化が決まった時、嬉しさは一瞬でした。そのあとすぐに、心配が浮かびました。乾いた手で使ってもらえるだろうか。直射日光を避けて保管してもらえるだろうか。クレンジングとして洗い流すものだと伝わるだろうか。日頃、品質管理の仕事をしていると、「使われてからが本番」という感覚が強いんです。私は、商品がお客様の手に渡ってからが本当の「品質管理」だと思っています。
浅野: 完成した瞬間より、その後の責任を考えていたんですね。
金森: はい。この商品が日常の中でちゃんと役割を果たせるか。そればかり考えていました。だから、浅野さんのように現場でお客様の声を聞いている人と、発売後も一緒に “ 使い方 ” が正しく伝わるよう工夫していきたい。処方を作って終わりではなく、理解してもらって、ソンバーユのように生活の一部になって続けてもらえるようにする。そこまで含めて私は “ 品質 ” だと思っています。


商品は使われてからが本番
浅野: 私自身卸の現場で仕事をしていると、まさにそこを痛感しています。良い商品は、分かりやすく説明できるとお客様の表情がパッと変わる。逆に、説明が難しい商品は、どれだけ中身が良くても届きません。だから私は、このクレンジングオイルを “ 商品 ” としてだけでなく、“ 体験 ” として伝えたいと思っています。クレンジングって毎日使うものだから、洗い上がりの感触、目元まわりの使いやすさ、きちんと落とせた実感、そして馬油ならではのあたたかみ。ここがそろって初めて「続けてみよう」と思ってもらえる。香りも、その “ 体験 ” の一部ですよね。金森: 今回のレモンの香りは、ただ香りを足したかったわけではありません。実は広島レモンを再現しています。顔に広げた瞬間、すっきりしたやさしくさわやかな香りがふわっと広がります。その香りに触れることで、クレンジングの時間が少し穏やかなものになるように感じます。香りは単に気分を変えるだけではなく、毎日のスキンケアの空間をやさしく整えてくれるものなのかもしれません。
浅野: 理系なのに、語るときはすごく情緒がありますよね(笑)。
金森: 肌って、理屈だけでは片づかないものなんです。寝不足や緊張、季節の変化で、昨日と今日で違う顔をする。だから私は、クレンジングの時間に肌に触れながら、その日のコンディションを確認してほしいと思っています。「今日はつるつるしてるな」とか、「顎まわりが少しざらつくな」とか。メイク用品を変えた時にいつもと違う感触があれば、そこに気づける。旅行や帰省、出張など環境が変わると、普段と違う印象になることもある。落とす時間が “ 肌と会話する時間 ” になると、日々の変化に気づきやすくなるんです。
浅野: クレンジングは、ただ落として終わりじゃない。「肌と向き合う入口」ということですね。
金森: そうです。私は馬油の魅力を、“ 足す美容 ” というより “ 整える美容 ” の感覚で捉えています。化粧品は成分を足していくイメージが強いですが、人によっては「足したもの」が負担に感じられることもある。だからこそ、不要なものを増やしすぎず、ベースを整える発想があってもいい。クレンジングは毎日の工程なので、そこに無理がないことが大事だと思いました。
浅野: ところで金森さん、当初「商品化は難しい」と言っていましたよね。その理由、もう少し聞かせてください。
金森: まず、ソンバーユという長い歴史のあるブランドで、一スタッフの提案から新しい商品を形にしてよいものか、という迷いがありました。
ただ、入社して14年、試験室で馬油という素材の魅力には日々触れてきました。その中でクレンジングの試作を重ねるうちに、「馬油の特長を最大限生かせば、日常の中で役立つ形がつくれるのではないか」という思いが少しずつ、でも確実に強くなっていったんです。
浅野: 自宅だけでなく、旅行先などどこでも使える便利さも追求していましたね。
金森: はい。“ 日常のどんなシーンでも無理なく使える ” という条件は、開発を続けるうちに絶対に外せないものになっていきました。しかし、原料には希少で高価な液状馬油を贅沢に使う必要がありますし、処方を整えるための他の成分も、決して安価なものではありませんでした。 試作を重ねるほどに、「これほどコストをかけた材料を使って、本当に商品として成立するのだろうか」「会社として、この挑戦を認めてもらえるだろうか」という不安や迷いが常にありました。
浅野: それでも、最後には一歩踏み出した。
金森: はい。試作の精度が上がるにつれ、少しずつ確かな手応えが見えてきました。そのたびに、「もう少しだけ、この可能性を確かめてみたい」という純粋な気持ちが湧き上がってきたんです。その積み重ねが、結果的に迷いを乗り越え、開発を最後までやり遂げる原動力になったのだと思います。

落とす時間を、整える時間へ
浅野: 最近は通年でUVクリームを使うのが当たり前になりましたよね。その分、落とし方に関するご相談が増えています。「ちゃんと落としたいけれど、落としすぎたくない」という、矛盾しているようで切実な、どちらも本音の声です。金森: 私はその両方の気持ちに応えられる、日々の使い方で寄り添える商品にしたいと思いました。保湿ケアとして「ソンバーユ」が長年多くの方にご愛用いただいているように、このクレンジングオイルでも日常に寄り添う新しい入口になればと思っています。落とすことを単なる作業で終わらせず、毎日のリズムの中に心地よく収まる存在にしていきたいですね。
浅野: お客様からは「他社の製品とどこが違うの?」という質問も増えてくると思います。金森さん、そこを端的に伝えるなら、どこになりますか?
金森: 繰り返しになりますが、一番は馬油の配合率、そしてそれを支える背景です。ただ多く入れるだけではなく、長年素材を扱ってきた知見をもとに設計しています。馬油を高配合できるのは、薬師堂グループの一貫製造体制と素材の理解、管理が前提にあるからです。さらに、その他原料は長年実績のあるものだけを厳選し、馬油を含めてわずか6種類という非常にシンプルな構成にしました。こうした「引き算の設計」が大きな特長です。
浅野: なるほど。シンプルだからこそ、素材の力が生きるのですね。
金森: はい。ただ、 “ 違い ” を声高に主張するよりも、使ったときに「これなら続けられそう」と感じていただくことが何より大切だと思っています。実際の体験と私たちの説明が重なったとき、そこに納得が生まれるはずですから。
浅野: そのためにも、対談の形で “ 開発の裏側 ” をしっかり残しておきたかったんです。最後に、金森さんが「ソンバーユ クレンジングオイル」に込めた一番の想いを改めて聞かせてください。
金森: メイクを落とす時間が、乱れた気持ちをいったん整える時間になってほしい、ということです。クレンジングは毎日のことだから、使い心地の穏やかさと、設計の筋の通り方、両方を大切にしました。私自身、肌がゆらぐときに落とす工程が怖くなることがありました。同じような不安を持つ方は少なくない。メイクをする人の気持ちを、最後の工程まで丁寧に扱いたい。今はその思いがいちばん強いです。
浅野: 私は開発までの7年間そばで見てきたからこそ、この商品を自信を持っておすすめできます。完成品を初めて手に取ったとき、金森さんの苦労や積み重ねがよみがえって、少し胸が熱くなりました。
クレンジングに迷っている方や、日々の落とす時間をもう少し心地よくしたい方に、まずはお手に取って、使い方も含めて体験していただけたらうれしいです。
金森: ありがとうございます。浅野さんをはじめ、多くの仲間に協力していただきました。試作中に「合わなかった」という率直な声をもらったこともありますが、その声があったからこそ検証が深まりました。
そして、使い続けてくださる方から「これが好き」と言われるたびに、この商品を丁寧に作ってお届けし続けたいという思いが強くなります。始まりは自分の悩みでしたが、落とす工程に不安を感じやすい方にとって、安心できる選択肢のひとつになれたら――その願いで、ここまで来ました。
浅野: 最後に、発売日が近づくと必ず聞かれるのが「敏感肌でも本当に大丈夫?」という質問です。私たちは誠実に、どう伝えていくべきでしょうか。
金森: そこはとても大切ですね。私は「誰にでも絶対に合う」とは言えないと思っています。肌は個人差が大きいし、体調や季節でも変わる。ただ、「成分選定の理由」「構成のシンプルさ」「社内の幅広い年代・肌質でのテスト」、そして「体感が変わりやすい使い方のポイント」――この4点は誠実にお伝えできるはずです。
たとえば摩擦を減らすことや、すすぎを丁寧に行うこと、直射日光を避けて保管すること。そういった基本とセットで丁寧にお伝えすることで、不安が和らぐ方もいらっしゃると思います。
浅野: 断言ではなく、設計の背景と使い方で「安心」をつくる。まさに “ 寄り添う ” 伝え方ですね。
金森: はい。商品は作り手の気持ちだけで守れるものではありません。使う方の理解と行動が合わさって、初めて本領を発揮する。だからこそ、接客の売場でもECでも、私たちは同じ温度感で伝える必要があると思います。この対談が、その第一歩になればうれしいですね。
浅野: この度は、対談を最後までお読みくださり、ありがとうございました。7年という時間の正体は、金森の “ 検証 ” と “ 日常感覚 ”の往復であり、仲間の協力の積み重ねでした。「ソンバーユ クレンジング オイル レモンの香り」が、皆さまの毎日にそっと寄り添える存在になりますように。
金森: もし、今日の肌が少し不安だなと感じる日があっても、どうか無理をしないでください。落とす時間を急がず、こすらず、呼吸を整えながら。手の動きがやさしくなるだけで、気分がふっと軽くなることがあります。私は、その静かな変化を大切にしています。
浅野: その “ 静かな変化 ” を、ぜひご自身のペースで体験してみてください。
【終章】
7年という歳月は、決して華やかな出来事の連続ではありませんでした。それは、気の遠くなるような回数の試作と検証を繰り返す、静かな積み重ねの時間でした。
素材の本質を深く理解し、使う人の切実な声に耳を傾け、日常の中で無理なく続けられる「最善の形」を探し出す。その真摯な往復の中でようやく産声を上げたのが、この「ソンバーユクレンジングオイル レモンの香り」です。
メイクを落とす時間が、単なる作業ではなく、肌と心を慈しみ整える時間として日常に溶け込んでいくこと。そのささやかな、けれど強い願いが、この一本に込められています。
この対談に登場する金森と浅野は、ソンバーユクレンジングオイルの新発売をお知らせするラジオCMにも出演しています。
福岡のラジオ局、 RKBラジオとFM福岡で2026年5月から8月にかけて放送されるCMです。
この対談を通じてお伝えした二人の想いを、ぜひ「声」の温度感とともにお受け取りください。
文章とはまた異なる、柔らかな空気感を感じていただければ幸いです。

